香港の病院の医療システム

 香港の医療制度  

香港と日本の医療制度は基本的に違います。香港では、大きく分けて公的医療と私的医療の2種類に分けられます。

公的医療(Government Hospital) 

Queen Mary Hospital(香港大学付属病院)などに代表される香港政府に運営されている病院。医療費は大変安 く、乳児検診・妊婦検診などは無料。日本の総合病院同様、予約なし。これは、日本のような、国が保障している保険(社会保険や国民健康保険)はありません。

私的医療(Private Hospital) 

医師や医師のグループ・教会など宗教団体が運営していることが多いようです。例えば、日本人がよくかかるアドベンティスト病院はアドベンティスト教会が運営しています。私立であるため、医療費は高額です。

香港と日本の病院の比較

香港の私立病院

日本の病院

病院のシステム

オープン・システム(Opened System)

*アメリカ、イギリスなど

クローズ・システム(Closed System)

*日本の他、ドイツも同様。

医師の立場

独立採算制。給与は歩合制。患者をたくさん診れば診るほど儲かるしくみ。

月給制。病院に雇用されている。

患者の立場

ドクターの患者として扱われる。

病院の患者として扱われる。

病院のかかり方

予約制。民間の医療保険に加入している場合は、証明書を持参する。

基本的に予約はいらない。保険証を持参すれば、国からの健康保険を受けられる。

医者GP(General Practitioner=一般総合医)について 

日本では、医師は自分の専門を持ち、患者は直接専門医にかかります。香港、アメリカ、イギリスをはじめとする オープンシステムをとる国々では、専門を持たない医者、一般総合医(ジェネラル・ドクター)=GPがいます。GPは基本的にどんな病気でも診てくれます。

GPが専門的な治療を必要すると判断した場合、GPから専門医(Specialist)を紹介してくれます。GPは専門医に比べると診察料金は安く、街のクリニックの医師であれば、一回診察料200ドルくらい。

専門医(Specialist)にかかる場合は、専門的な治療を必要とする時です。たとえば、内科専門のお医者さんは慢性的な治療や長期にわたって症状をコントロールするような病気を持つ患者さんが一般的にかかります(例:甲状腺疾患、糖尿病、高血圧などなど)こういった病気は、一般総合医でも治療できますが、ケース・バイ・ケースで専門医のもとで治療することもあります。どのお医者さんにかかってよいかわからないときは、予約する際、病院スタッフに聞くとよいでしょう。また、GPにかかって相談するのがよいと思います。

カルテは公開される?

 香港は、医療の情報公開(インフォームド・コンセント)の考えが浸透しており、患者、医療関係者、保険会社関係者などがカルテをはじめとする医療情報の提示を求められた場合、公開する義務があります。初診のとき、いろいろ手続きをしますが、初診の記録用紙をよく見てみてください。医療の情報公開に関する合意を求める項目があります。知らないうちにサインしている方がほとんどだと思いますが、患者が医療情報の公開に合意するサインをすることによってはじめて、カルテは公開されるのです。

お医者さんと患者が対等な医療とは

香港では、医師がよくこんな言葉をかけます。

「It's up to you」

つまり、患者に決定権をゆだねてしまいます。私たち日本人は、これを言われるとけっこう戸惑うことが多い かもしれません。日本のお医者さんは、患者を管理していると言いますが、このお任せ医療は患者にとっては楽なのでは・・・お医者さんが全部、決めてくれて、患者はそれにまかせしていれば、医療の主体者は医師や医療従事者です。患者とお医者さんが対等に話し合うとなると、患者も必然的に医療にかかわっていかなければならないし、医療にかかわる以上、ある程度、患者自身も責任を取る必要が出てきます。

インフォームド・コンセントとは、医療の情報公開のこと。お医者さんや医療者が医療情報を公開すると同時に、患者も必要な自分の医療に関する事柄(たとえば、過去の病歴とか、検査結果とか)を医療者に正確に伝える義務があります。つまり、医者は患者から過去の病歴、検査結果を聞き、診察と、患者からの話を元に診察・治療を進めていくわけですから、患者が正確なことを医療者に伝えていないと、インフォームド・コンセントの立場から言えば、それはルール違反なわけです。

こう考えると、日本のお任せ医療はやはり患者にとってもお医者さんにとっても楽なのかもしれません。お医者さんと患者が対等の立場で、というと患者にとってすごく良い環境のような気がしますが、対等である分、患者の役割も大きくなります。とくに、手術やおおがかりな検査が必要になってくると、お医者さんは手術や検査に関する説明を医療者の立場から行い、最終的な決定権は患者にゆだねられます。でも、自分だけで決定するのは難しいとき もあります。一人のお医者さんをどこまで信頼していいか決めかねるときもあります。そんなときは、やはりセカンド・オピニオンを求めるのも一案です。

 セカンド・オピニオンについて

セカンド・オピニオンとは、自分がかかっている以外のお医者さんから意見を聞くことです。

第三者の医師にセカンド・オピニオンを求める場合、必要なのがカルテのコピーと検査結果です。これがないと正確な情報がわかりません。インフォームド・コンセントが徹底しているかしていないかはセカンド・オピニオンを求めるときにはっきりわかります。

カルテのコピーと検査結果があれば、 別の医師にセカンド・オピニオンを求めることができます。そして、自分が納得のいく治療をしてくれる先生を探すことができます。